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一般文芸 | [旧]SF・ファンタジー・ホラー | cat 〜その想い〜<全27話> シリーズ - cat 〜その想い〜 5 | 時御 翔

『cat 〜その想い〜<全27話>』

cat 〜その想い〜 5

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≪あらすじ≫
 梶原、富士、坂下、柴田、林、市来が昼休憩からもどる際に、岱馳をみつけた。猫がいることに視線が移る。ありえない光景に、同僚たちは興奮していた。
 特に、柴田 明日香が猫が好きなのか、これまでにないほど感情が高ぶっていた。
 猫との出会いなどの経緯を話すも、女たちがどうしてもこういうカワイイものを見ると、想像力を膨らませすぎるところが厄介だった。
 いちいち質問が多く、それでいて勝手に猫を中心にして話を盛り上げるのだ。
 そんな中、坂下は冷ややかな目をむけていた。
 猫で盛り上がっている場合ではない。会社にきたなら仕事が優先だ。といっているような見下している目つきだった。それは岱馳の不甲斐ない態度にむけられていたことを、わかっていた。

 猫に名前をつけていないことに、同僚たちは適当に名づけようとしているが、岱馳にとってはどうでもいい。猫、と呼べばくる。ただの野良猫。いついなくなるかもしれないというのに、わざわざ名前をつける必要もない。
“我輩は猫である、名前はまだない“。なんかの作家であったな。だから夏目でいい、といったが、梶原が却下した。

 この日は初日ということもあり、これといってトラブルもなく仕事が終わる。そして、猫と帰宅する。
 これが毎日になると思うと気が滅入るが、それも慣れるだろう。

”あれいらい”、岱馳は一人でいることに逃げている。仕事も休み、一人旅をして、どこか遠くへ行こうとする。それはまるで、あのひととの思い出にすがるようにして、止まった時間の世界に逃げ込んでいるようだ。
 おそらく坂下は、そういう岱馳の考え方が好かないのだろう。
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