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官能小説 | 純愛・ラブストーリー | お隣さんに口付けを シリーズ - お隣さんに口付けを<1> | 古葉レイ

『お隣さんに口付けを』

お隣さんに口付けを<1>

全5ページ
≪あらすじ≫
 
 ほろ苦くも染み入る物語を贈ります。

 一人の出会いが運命を変える。そんな話。
 恋愛未満がもたらす、甘く切ない物語の一片をどうぞ。

〇抜粋〇

 そこにあったのは、床に倒れた女だった。玄関の傍でパンプスを脱ぎ、うつ伏せで倒れた女性が、俺の部屋に居た。
 長い髪は床に広がるように乱れ、玄関には見慣れないバッグが落ちている。それでも泥棒の可能性は消えておらず、そうと横顔を覗き込むと、そこにあるのは緩んだ頬と、閉じられた瞼と、長い睫毛だった。
 そして漂う、酒の匂いに、俺の眉間にしわが寄る。

「く、臭い……って、誰ですか?」

 思わず丁寧語で聞いた自分に驚く。俺の問いに、女性は閉じていた瞼をふるふると揺らして、薄く目を開いてこちらを見た。
 その瞳はしっかりと俺を見つめ、嬉しそうに笑んでいた。

「どうしたの?」

 と小さく問われて、息を飲む。

 彼女の面持ちは、誰かと間違えている、そんな顔をした。
〇〇〇
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