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一般文芸 | [旧]ミステリー・サスペンス・ハードボイルド | 自称天才数学者の推理記録 記録4 後篇 | 家門道一 [p.1/p.4]

『自称天才数学者の推理記録 記録4《密室の秘密》<全2話>』

一般文芸 | [旧]ミステリー・サスペンス・ハードボイルド | 自称天才数学者の推理記録 記録4 後篇 | 家門道一 [p.1/p.4] | 幻創文庫[p.1/p.4]

自称天才数学者の推理記録 記録4 後篇

[p.1/p.4]
 殺し屋の林田剛が、マンションの部屋で死んでいた。
 玄関のドアには、鍵がかかり、ドアチェーンが付いていた。
 つまり、密室殺人なのである。
 ドア以外に、部屋と外部を繋ぐ場所が、2つあった。
 1つは、ベランダの窓の上部に付いた換気用小窓である。
 だが、これには虫よけの網が張ってあった。
 この窓からの侵入、脱出は無理なのである。

「もう1つは、何?」と、桜小路悟一が聞いた。

 榊原徹雄は、次のように説明した。
 もう1つは、トイレの天井にある点検口なのであった。
 このドアから、屋根裏へ行くことができる。
 電気の配線などを、点検、修理するための、扉なのである。
 この点検口は、5階の各部屋についている。
 だから、点検口を通れば、別の部屋から林田剛の部屋へ行けるのであった。
 だが、理屈はそうなのだが、実際には、無理なのである。
「普段は使わないものだろう。だから、点検口の屋根裏側には、格子がはまっている」
「なるほど」
「格子はネジ止めしてあって、ネジは錆びていたよ。最近開けられた跡はない」
 しかも、と榊原徹雄は続けた。
 屋根裏は、電線やパイプを通すだけのものだから、狭い。
 大人が四つん這いにならなければ、移動できない高さなのであった。
 そして、屋根裏の床には、ほこりが溜まっていた。
 もしそこに人がいたならば、必ず床に跡が残るはずであった。
 だが、それはなかった。
「だから、トイレから屋根裏へ脱出、というのは無理なんだ」
「そういうことだから、実質上は密室、ということだな?」