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ボーイズラブ | ノンジャンル | 危険な恋人たち 6 | 羽邑崇 [p.1/p.8]

『月に叢雲、華に風。<全91話>』

ボーイズラブ | ノンジャンル | 危険な恋人たち 6 | 羽邑崇 [p.1/p.8] | 幻創文庫[p.1/p.8]

危険な恋人たち 6

[p.1/p.8]
煙草のフィルターを齧った蒼太は、携帯の向こうにいる飛田を想像しながら話した。
どうせどこかのバーで酒でも引っかけながら、ナンパの相手を物色でもしてるのだろう。
いい加減で天邪鬼、興味本位だけで動く、およそムシの好かない相手だ。
だが探偵としての腕は優秀で、以前、旭に頼まれた飛田が、蒼太の身辺をあらった時、ものの半日で偉く広範囲に調べ上げていたらしい。
その分調べが足らず少々浅かったが、それも時間をかければもっと深く掘り下げられただろう。
そんな時間的余裕がその時の彼になかった事を幸運に思いながら、蒼太はなにかあればこれからは飛田を使うと決めていた。

それまでなにか調べたい事があればたいていは昔の仲間である風次を使っていた。
風次の調べは完璧で仕事も速い。
逐一報告を入れるあたりも、律儀でとても役にたっていた。
ずっと風次を使いたいところなのだが、風次は情報屋を生業にしている。
本当ならその調べが確かなぶん、料金もそれなりに高い。
多くの部下、スタッフを持つ風次は、その部下たちを食わせていかねばならず、ただ働きは割に合わないだろう。
だが今も蒼太を総長と見ている風次は、昔のよしみもあり、蒼太からは金を取らない。
助かるといえばそうなのだが、これからはそれでは困るのだ。

聞けば風次は近々、昔馴染みの女と結婚するらしい、所謂デキ婚で、もう直ぐ子供も生まれるとか。
父親となる男が、いつもでもヤクザな情報屋などをやっているのもどうかと思うが、それよりも問題なのは風次には守るモノが増えたと言う事だ。
自分の我侭で、いつまでもただ働きはさせられない。

しかし、へんに昔気質の風次は、これからもきっと、蒼太からの金銭は受けとらない。
だから逆に頼めない、変わりになるモノが必要だった。

正直なところ、飛田では風次のかわりには少し足らないのだが、今のところ飛田以上にできそうな人間を知らない。
危ない橋も渡らせる事になるので、滅多な奴には頼めないし、信用出来る相手でなければならない。
飛田が信用出来るのかと言えば、そこもいまひとつ確信に足らないのだが、彼は元々旭の友人だ、旭を困らせるような事はしないだろうと考えた。

『なんだよ人使い荒えな、こないだの件がすんだばかりだぜ?』
「その続きや、まだ終わっとらんかった」