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官能小説 | ショート・ショート | コンタクティ | 日向章 [p.1/p.6]

読み切り

官能小説 | ショート・ショート | コンタクティ | 日向章 [p.1/p.6] | 幻創文庫[p.1/p.6]

コンタクティ

[p.1/p.6]
「……我々地球人は、もう次のステージに移る時期に来ています。ぜひ一緒に進化しようではありませんか!」

 壇上で男が拳を振り上げると、集まっていた聴衆は一斉に「おおっ」とどよめいた。
 次の瞬間、割れんばかりの拍手が会場を埋め尽くす。

「なんて素晴らしい!」
「ずっとあなたについていきます!」
「教祖様ぁ!」
 そんな、叫びにも似た声が、広い会場のあちこちから上がっている。

 拍手が一段落すると、講演者は手を振って聴衆をなだめ、笑顔でマイクに向かった。
「えー、ただいま『教祖様』という声が上がりましたが、私は怪しげな宗教団体の教祖ではありません」
 会場から失笑が漏れる。

「私はあくまでも、高度な文明を持つ宇宙人との仲介役に過ぎません。どうか『コンタクティ』と呼んでください」
 会場に集まった何百という人々は、一斉に頷いた。皆、彼のプロフィールは十分承知しているのだ。

「人は宇宙の大いなる意志によって変わらなければなりません。どうか皆さんがその先駆者でありますように」
 そう締めくくり、講演者は壇上を後にする。再び会場を拍手が埋め尽くした。

 舞台袖に引っ込んだ彼は、控えていた女性に手を差し出した。すぐさまペットボトルの水が差し出される。

「先生、大成功ですわ」
 秘書の女性がにこやかに言う。神を崇めるような眼差しだった。
「これで今年の講話は最後です。本当にお疲れ様でした」

「ん、最後? クリスマスの集いはどうした? 12月にあるんじゃないのか?」
 男の声はぞんざいで、温かみに欠けていた。さきほどまで聴衆に見せていた笑みも消えうせている。

 女性秘書は、そんな態度の変化には慣れているのだろう。笑みを絶やさず言う。
「あれは講話というよりパーティですから。女性会員限定の、楽しい忘年会」
「おお、そうだったな。会場はもう押さえたか?」
「そろそろ予約しようかと。30人ほど入れる、防音の部屋がよろしいですわね?」
「床にはブルーシートを敷いておけ。去年はびちゃびちゃになって困ったからな」

 コンタクティの男はからからと笑った。秘書は少しふくれ面になる。
「もう、先生は本当にエッチですわね」
「何を言うか。女性会員には特別に、私の宇宙パワーを直接分けてやってるんだ。ありがたい話じゃないか」

「私は最近、分けてもらってませんけど」
「ああ? そうか、ご無沙汰だったな」

 男はすっ、と彼女の胸に手を伸ばした。服の上からでもはっきりと分かるふくよかな乳房をギュッと揉む。

「いやん」
 20代前半に見える女性秘書は、身をよじりながらも、どこかうれしそうだ。

 二人は煌々と照らされたホールの廊下を、楽屋へと歩いた。
 その間も彼は秘書を抱き寄せ、その体を玩具のように撫で擦る。

「今夜あたり、宇宙パワーを注入してやろうか、ああ?」
「はい……お願いします……」
 愛玩されるのが嬉しくて仕方ない仔犬のように、彼女は頬を赤らめ、従順にされるがままになっていた。